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The EMBO Journal

少し前に、京都時代の先輩で、現在はフランスで研究をされているKKさんよりEメールをいただく。参加されているMLにて、The EMBO Journalから求人告知のEメールが流れてきたとのこと。現在、Editor(編集者)を「二人」募集しているという情報。自分の興味を公言していると、ときにこのような好意をいただけることがあり、とてもありがたい。

さっそくウェブサイトに行ってみると、確かにここにもその求人情報がアップされていた。まだ私に直接関係することではないけれど、自分のキャリアパスとして、日本とアメリカばかりを考えていたことはやや不覚。どんなめぐり合わせが得られるか分からないが、ヨーロッパや他の地域もしっかり視野に入れなければと反省した。

いい機会なので、The EMBO Journalについて少し調べることに。この雑誌は、EMBO(The European Molecular Biology Organization )が発行する分子生物学の総合論文誌で、ドイツのハイデルベルグにオフィスを構えている。老舗論文誌として、評価は高い。二〇〇四年からnature誌を発行するNPGの傘下に入ったことは当時、私も目を引いた。

20070922151547.jpg


興味をもって、ウェブサイトを眺めているうちに、以下の記事を見つけた。
Editor's Note―Authours, reviewers and editors at The EMBO Journal

The EMBO Journalにおける編集体制や姿勢、また投稿論文のリジェクトに関して、その際よく寄せられる反論に対しての編集部の見解なども書かれており、なかなか興味深い。

私が一番興味があるのはその編集体制。例えばnature誌では投稿論文の一次選考を、nature編集部のeditorが行っており、それを通ったものに関して、refereeに提出、査読がなされる。The EMBO Journalでも上記記事に依ると、同様のシステムを採っているようだ。

その理由の一端が上記記事の中の"Full-time scientific editors versus part-time job for actice scientists"という項にあった。一つには、異なる様々な分野からの投稿原稿を取り扱い、評価してきた経験を蓄積できること。もう一つは研究競争からは離れた立場で、論文の評価に関われること。

これ自体はよく分かるが、正直なところ、事務的な理由のみの範囲内に留まっており、やや弱い理由付けのように感じられる。たとえば私がNPGで聞いた話によると、natureは商業誌としての魅力を出すために、明確な方向性を示す必要がある。そのためには、natureが独自に編成した編集部による論文選考システムが必要。ということを第一に挙げていおり、こちらの方はその必要性をよく理解できた。

ただ、上記記事の項も「科学者による兼任職としてのEditorと比較した、専門職としてのEditorの利点」、という問題の立て方自体には、誰もが感じるとてもシンプルな問いに正面から触れており、好感がもてる。

関連して、mapleflyさんによるこちらのエントリではMolecular Cell誌のEditorかつ、Cell誌のConsulting Editorも務めるDorit Zuk博士の講演内容がまとめられている。博士号取得からポスドクへという生物科学者としてのキャリアアップと、その後のCell Press社への転身。さらには現在の仕事の困難などが話されたとのことで、とても興味深い。

また、こちらの講演で「エディターにとって最も重要な仕事は、レビューアー選びである」ということが強調されていたとのこと。Editorは「投稿者側が避けて欲しいと要求したレビューアーを細心の注意をもって避ける」のだそうだ。レビュアー選びに関しては上にリンクしたThe EMBO Journalの記事にもほぼ同様に書かれていた。この過程をいかに迅速に、かつ公正に進めることができるかが、学術論文の出版において鍵をにぎるのか、上の二つの記事を読むとよく理解できる。

さて、何はともあれ、今の私にはまず博士号へ向けて、日々の研究に取り組むことがまず第一。その先のキャリアを見据えつつ。

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  • All Comments

    ブログ開設、おめでとうございます。
    どのエントリーも興味深く読ませていただきました。

    「エディターは細心の注意をして、投稿者が望まないレフェリーを避ける」という点は少し安心しました。
    「投稿者が避けて欲しいと言ったレフェリーを意図的に選ぶ」エディターもいるというウワサもありますが故。

    英語でのブログはお持ちでないのでしょうか?
    「世界への発信」と「不特定多数の誤読」をさらに大きいスケールで実現できると思うのですが。
    (実は私も英語用のブログも持っているのですが、ヘタレなのでまだ知り合いには誰にも公開しておりませんv-16それでも、アウトプットの機会が大幅に増えますので、留学未経験者には良いツールとなっています)

    今後のエントリーも楽しみにしております。

    URL | 2007/09/22(土) 16:47:59 | HILOKI #utQmi34I | [ 編集]

    HILOKIさん、早速のコメントありがとうございます。

    >「投稿者が避けて欲しいと言ったレフェリーを意図的に選ぶ」エディターもいるというウワサもありますが故。

    その辺りは時と場合によるのでしょうね。または、その局面でエディターの実力と勘が問われていたり。あえてこのレフェリーをぶつけることで、何か動きを作ることを意図して。なんて、それは全く私の憶測です。

    英語ブログは私も持ちたいと思っているのですが、どういった形にしようか思案中です。でもそう考えはじめてから、ようやく英語ブログにどんなものがあるのか探したり、科学誌のニュース記事にも前よりよほど積極的に目を通すようになりました。やはりアウトプットはインプットの良い契機でもありますね。この場合でもそれを強く感じました。しかしHILOKIさん、英語版もすでにお持ちとは。いつか場所を教えてください。

    それではこちらでもよろしくお願いします。HILOKIさんのエントリも引き続き楽しみにしています。

    URL | 2007/09/24(月) 05:03:47 | cTak #- | [ 編集]

    HILOKIさん、そして早速リンクしていただいたようで、どうもありがとうございます。こちらのリンクにも加えさせていただきました。

    URL | 2007/09/25(火) 13:49:47 | cTak #- | [ 編集]

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